ウィメンズウェア注目のブランドブランド
MISTER I T.
2012年からメゾンマルジェラのメインコレクションとオートクチュールに3年ほど携わった経歴は、極めてパーソナルな視点で服作りを行っているmisterit.のデザイナー、砂川卓也の自由な発想の原点だ。メゾンを離れる際に、お世話になった人々のひとりずつをイメージして発表したカプセルコレクションと、現在もデザインスタイルは基本的に同じ。身近な人をイメージし、その人のスタイルや嗜好を反映させて、フィットする洋服を完成させる。その服作りの発想は、オートクチュールと同じ観点なのだ。結果的にそれがより多くの層にアプローチできるのは、ディテールや洋服に組み込まれたデザイン性に今の時代感がさりげなく反映されている部分だろう。2018年の春夏シーズンから本格的にスタートしたmister it.。ブランドを象徴するアイテムであるシャツの袖口には、小さなハートがひとつ、施される。これは、洋服を着ている人と握手した相手が、そのハートを見ることによって会話が弾むことをイメージしており、その細やかなストーリー作りがブランドのアイデンティティでもある。2019年秋冬は、繊細な素材使いやテキスタイルのレイヤードで変化をつけたデザインが目をひくラインナップ。エスモードパリを主席で卒業し、在学中には『2012年仏ディナール国際ファッションコンクール・ウイメンズ部門』でグランプリを受賞している。現在の取り扱いショップは、I.T(香港)、EditionやVisit For(日本)など。
ROKH
韓国生まれのデザイナー、ロック・ファン(RokHwang)は、2016年に自身のブランドRokhをスタートした。音楽を通じてファッションと出会ったファンは、セントラル・セント・マーチンズでメンズ/ウィメンズウェアを学んだ後、フィービー・ファイロの元でセリーヌのレディトゥウェアのデザイナーとして3年間働いた経歴を持つ。2018年、彼のブランドは、若手登竜門とされるLVMHコンテストの特別賞を受賞した。Rokhのコレクションは、シーズンにとらわれない。ワードローブの定番アイテムにモダンなひねりを与えることにこだわり、ファイロ時代のセリーヌが好きな人が求めるような、さりげない高級感を醸し出している。2019年秋冬、パリ・ファッションウィークでデビューを飾る「TeenageNightmare」というコレクションは、様々な用途に使えるアイテムに焦点を当てている。例を挙げれば、ボンデージの留め具がついたテーラードのコートやブレザー、アシンメトリーなスカート、深みのあるタバコレザーのトレンチ、パティーナ加工を施した艶感のあるジャケット、マーブルプリントのペンシルスカート、カラフルなクローシェ編み、アシッドカラーのタートルネック、火で焼いたような裾加工を施した花柄やペイズリー、チェーンのモチーフのシルクドレス、ピアスや透明のPVC素材のディテールなど。世界120か所に販売拠点を展開しているが、Net-a-Porterがブランド最大規模の販売シェアを持っている。www.rokh.net
SIES MARJAN
セントラル・セント・マーチンズ卒のサンダー・ラックがNYで立ち上げたシエスマルジャンは、ウィメンズウェアの新しいラグジュアリーブランドだ。2016年の創設前、このオランダ人デザイナーは、パリのドリスヴァンノッテンでデザイナーを務めていた。世界中を旅した子供時代の思い出がラックの色への興味を掻き立てた。鮮やかでポジティッブな色使いの大胆な組み合わせは、彼のコレクションの個性の一つであり、気分を盛り上げるカラーセラピーの効果もありそうだ。とてもフェミニンなカット、流れるような美しいドレープ、ドラマティックなプロポーション、独特なテクスチャーの素材の使用などが特徴だ。ヴェトモンやゴーシャラブチンスキー ウィメンズなどを手がけるロッタ・ヴォルコヴァがスタイリストを務めた2019年秋冬コレクションは、キャンディーのようなパステルカラーや目に突き刺さるようなネオンのシャルトルーズ、フローズンイエロー、フーシャ、ピンク、トラフィックコーンオレンジのような活き活きとした色の万華鏡と、デリケートなスワロフスキーのクリスタルメッシュの組み合わせが目を楽しませた。また、オウバジーンやミッドナイトブルーのレザーで作られた、迫力のあるモノクロームのスリーピーススーツも登場した。現在の取り扱いショップは、バーニーズニューヨーク、MatchesFashion、ブラウンズ、SSENSEなどで、グローバルに販売されている。www.siesmarjan.com