キャンディがちりばめられたランウェイメンズウェアトレンド
ちょっとやそっとの恋心ではない、メンズウェアは今、キャンディーカラーにぞっこんだ!
ピーチ、アプリコット、キャロット、バナナ、ミント。2020年春夏のメンズウェアコレクションは、これまでウィメンズウェアの色だとみなされてきた天然色にインスパイアされたカラーパレットで溢れている。さらには、女性の夏のファッションで定番の花柄までも、メンズコレクションに進出していた。
過去数シーズン、鮮やかなディテールがメンズウェアで目撃されたが、2020年春夏コレクションは、カラフルなトータルルック一色だった。ルイ・ヴィトンのコレクションでは、メンズウェアのアーティスティックディレクター、ヴァージル・アブローが、絶えず様々な表情をみせる変容と変化の象徴である花からインスピレーションを得ていた。自然のテーマは、ジャックムスでも主役を演じていた。ブランドの「Coup de Soleil」コレクションは、プロヴァンスのヴァロンソルのラベンダー畑を舞台に繰り広げられた。天然素材や柔らかな色使い、ゆったりとしたシルエットが新しいマスキュリンエレガンスの中心で光っていた。
ポール・アンドリューのクリエイティブディレクションの下で初披露された、サルヴァトーレ フェラガモのメンズウェアコレクションでは、天然色とキャンディピンクやグリーンミント、ブルーの色の共演が目を楽しませた。この色の組み合わせは、ジャージやナイロン、リネン、ギャバジン、ウール、モヘアなどの素材使いで、ひときわ映えていた。これはまさに、細部に渡る素材研究による賜物だ。ジバンシィでは、クレア・ワイト・ケラーが、繊細で洗練された色を探求し、ヴィンテージのジャカードにボードレールの「フラネール(芸術道楽)」のムードを彷彿とさせる着心地の良いゆったりとしたシルエットを組み合わせていた。これは、王立ゴブラン製作所やフランソワ・ブーシェのタペストリーへと繋がる、ユベール・ド・ジバンシィが幼少期に培ったアンティーク素材に対する彼の愛にオマージュを捧げる内容だ。
これと同様に、ベルルッティでアーティスティックディレクターを務めるクリス・ヴァン・アッシュは、自然と伝統の組み合わせに注目した。自然と文化が出会う場所として知られる、リュクサンブール公園のオランジュリー前で披露されたコレクションは、ノスタルジーな要素が斬新に再解釈され、蛍光オレンジとテラコッタ、鮮やかなイエローとマスタード、コバルトブルーとネイビー、ディープパープルとパープルのキーカラーがランウェイに溢れ、観衆を魅了していた。