エンターブライズ 2.0:アジャイルの時代
レポート
デジタル化の急激な発展とその効果はファッション業界にも影響を及ぼしている。トレンドのサイクルはますます短期化され、消費者の購買形態は素早く変化する。この流れに遅れをとらないよう、いくつもの会社がオンラインの世界が取り入れている「アジャイルなアプローチ」へと向かっている。「アジリティ」とは、新しい企業文化だ。ヒエラルキーの構造から離れて、自主的なチームワークでリスクを恐れずに素早い決断へ向かうことを意味している。率直な批評、リスペクト、コミュニケーションとコミットメントなどがその中心となる価値だ。長期に渡るプランニングの行程は、実践的なトライ&エラーが取って代わることになり、管理は信頼に代わり、従業員は命令を受けるのではなく、自ら積極的に仕事に関わるようになる。アジャイルなアプローチはこれまで、IT分野で主に採用されてきたが、オットーやザランドなどのリテール大手は、この過程で新たな施設を作り出し、異なる部署の新事業として実験的に取り組んでいる。両社はともにキャンパス型の本社を構え、オープンなオフィス環境、静寂なエリア、ラウンジやジムなどのフレキシブルなワークスペースを、多目的スペースというコンセプトの一環として整備している。オットーの取締役員は個室型のオフィスに見切りをつけた。アジリティは、ザランドにとって設立当時から不可欠であり、70年の歴史を持つオットー・グループも現在、プラットフォームの変革の真っ最中だ。すべてのリテーラーが常に大企業に対抗したい訳ではないにせよ、中小企業にも適した手段が多々あるのも事実だ。直ちに事業を改革する必要はない。アジャイルな思考は、まずは一つのプロジェクトまたは一部署から始めるという意味も含まれる。「古いモデルに沿ったビジネスから新しい分野への冒険を望むのであれば、サポートと指導を得ることを薦めています」と、オットーでアジャイル・コーチをしているエヴァ・シェルヴィンスキーは言う。どの会社にもアジャイル・ワーキングを試すのに最適なユニットやプロセスがある。そして多少の準備が必要だ。リストのトップにあるのは「定期的なのコミュニケーション」。それぞれのチーム内でメンバーが何をしているのか、毎日簡単な会話を交わすことだ。