ドリアン・グレイの新たな肖像メンズウェアトレンド
ここ数シーズン注目を集めていた、新種のソフトマスキュリンのトレンドは、2020 -21年秋冬のメゾンコレクションでピークを迎えた。
贅沢で気品のある素材使い、非常に手の込んだ装飾、艶やかで柔らかなカラーパレットの大きな波が、2020 -21年秋冬メンズウェアのショーを席巻した。伝統的なテーラーリング要素に、レースやシフォン、ベルベット、なめらかなシルク、サテン、シアー、上質のウール、花柄プリント、洗練された刺繍やビーズ、パールなどを組み合わせたコレクションが登場した。
このトレンドの頂点を極めたのは、ディオールオムだ。メゾンの1950年代のオートクチュールのアーカイブをヒントに、ドリアン・グレイのようなシルエットをアピールした。パールグレーやブラウンのかすかに光るタフタコート、襟に施したオーバーサイズの花飾り、贅沢な刺繍、ベルベットのイブニング・グローブ、パールのモノイヤリングなどを披露した。一方、ルイ・ヴィトンでは、素晴らしいコーディネイトのサルトリアルなラインナップが、クリスタルを散りばめたシャツやラッフル、ルネ・マグリットを彷彿とさせる青い空や雲をシュールに描いたプリントなどが引き立てていた。ルドヴィックドサンセルナンは、非常にウェアラブルなコレクションを披露。シグネチャーである、セラミックのマスクやパジャマのようなサテンのアイテムが登場した。スペインの歴史に刺激を受けた、パロモスペインのコレクションは、ルネサンス風のロングスリーブのブラウスや洗練されたレースのインサート、花柄のブロケードコート、キラキラとした刺繍が目を引きつけた。
Bodeは、リサイクル素材を使い、クチュールレベルの精巧なアイテムを披露。一方で、ロエベやJ.W.アンダーソンではジョナサン・アンダーソンが、クチュールの要素をメンズウェアに落とし込んだコレクションを製作した。同様に、Casablancaのショーでは、パールやダイヤモンドのアクセサリー、風景や白鳥、ダルメシアンのプリントしを施した華麗なスタイルが登場した。依然としてマスキュリンなスタイルも残る一方で、装飾的で壮麗で、官能的であることも恐れないメンズウェアに捧げる市場は、メンズのジュエリー市場の成長と同じく(WeAr 61号のレポートを参照)、現在盛り上がりを見せている。