企業ポッドキャスト:ビジネスについて話そう!レポート
ポッドキャストの人気の高まりを受けて、企業もその波に乗る方法を検討中だ。だた、投資するだけの価値はあるだろうか?
Edison Researchの研究によると、昨年、22%のアメリカ人が少なくとも1週間に1度ポッドキャストを聞いたという(2016年は13%だった)。そのうち50歳代以下が占める割合は40%と高く、毎日ポッドキャストを聞く人の約半分に迫る勢いだ。また、ファッションブランドには、マーケティングのメデイアチャネルとして活用しているところもある。例えば、ジャーナリストのマリエラ・フロストラップが業界の専門家にインタビューする、ハロッズのチャンネル「True Tales of Luxury」や、ファレル・ウィリアムスやソフィア・コッポラのようなセレブが登場するシャネルの「3.55」、サスティナビリティをテーマに様々なトピックを扱う、セルフリッジズの「Hot Air」、デザイナーが業界の裏話を紹介する、メゾン マルジェラの「The Memory of ... with John Galliano」などがある。
しかし、多くのブランドは、テーマか予算が枯渇して、数回のエピソードを更新したのちに終了(Asosやマークス&スペンサーがその例だ)してしまう傾向にある。ポッドキャストを始める前に、その目的や対象を明確に決めておかなければならない理由はそこだ。また、企業ポッドキャストは、社内および社外用のコミュニケーションツールとして使用することができる。後者の場合、ブランド認知の向上に役立ち、顧客のロイヤリティを高め、企業を知るための特定の話題でリスナーを楽しませることが期待できる。マネージャーやブランドアンバサダーは、カジュアルな会話形式の中で自己紹介ができ、自分たちのアピール度が増すと同時にブランドの利益にもつながる。前者の場合、ポッドキャストは社員採用やニュースの共有、社員教育などで便利なツールになる。
ただ現在まで、企業ポッドキャストは大規模なリスナーを獲得できていない。場合によっては、コストも高くかかる。主として、このようなフォーマットは、ビジネス専門家の資格を構築するためにデザインされているので、自分が熟知しており、自分と従業員がともに興味を示すトピックを選ぶ必要が生じる。これを見つけるには、『Podcasting!』の著者であるラリッサ・ヴァシリアンが勧める、「異なるチームから5名の従業員を集め、ブレインストーミングを行えば、際限なくアイデアが生まれてくる」とのアドバイスにあるように、そこから、ポッドキャストのコンセプトに合うものが形になっていくか試すことができるだろう。ただ1つの条件は、広告風にならないよう気をつけることだ。
自分のポッドキャストを立ち上げようと決心した人のために、いくつかアドバイスを提供しよう。(1)理想としては、少なくとも隔週で新しいトピックをリリースすること(2)毎回、様々なゲストとのインタビュー形式の会話を取り入れ、単独のプレゼンターよりも興味を引きつける(3)適した長さは15〜30分(4)優れたプレゼンターを据えることがマスト(お値段は高いかもしれないが!)
ブランドのポッドキャストは正攻法ではないと考えていながら、この急成長中のメディアを試してみたいなら、他人のポッドキャストにゲスト専門家として登場したらいいだろう。「ポッドゲスティング」は、自分のショーに散財せずして、新しい顧客を獲得できる理想的な方法だろう。または、自分のショップ内で、適したテーマのポッドキャストを主催することもできる。例えば、高級百貨店のサックス・フィフス・アベニューは、2019年1月から、「Where Brains Meet Beauty」というポッドキャストを主催し、美容業界の専門家が、店内のビューティーフロアで定期的に自分のショーを録音できる機会を提供している。リテーラーとポッドキャスターの両者にとって、ウィンウィンの戦略だ。