中国のデジタルプラットフォームレポート
多くの欧米企業にとって、中国市場を理解することは依然としてロケット技術を習得するような感覚だ。デジタルプラットフォームを介して、大規模で幅広い領域の消費者ベースと関わる際のアドバイスを、WeArが提案する。
数多くのブランドやショップは、中国のSNSをまだ最大限に活用できていない。WeArは本号から数回に分けて、国際的なリテーラーにマッチする、現在注目すべき中国のデジタルプラットフォーム:Little Red Book(本号)、アリババやTikTok(次号以降)について “ハウツー” を紹介していく。
Little Red Book(LRB)は、SNS出身のリテールプラットフォームだ。買い物客が自分の掘り出し物をシェアする強力なコミュニティーを基盤としている。本来、海外で購入した商品レビューのプラットフォームをユーザーに提供することが目的だったが、結果としてショッピング体験をコミュニティーと共有する場所へと変化を遂げた。2020年2月時点で、LRBには約3億人の登録ユーザーがいる。これは、2018年中旬と比較して3倍に相当する。さらに、LRBが運営する国境を超えたe-コマースサービスのRED Mallでは、世界中のラグジュアリー、ビューティー、ファッションアイテムを中国のユーザーに販売している。商品レビューのチュートリアルやブログの掲載、ライブストリーミング、オンラインのユーザー数を増やす、その他の革新的な方法など、コミュニケーションを基盤としたコンテンツは豊富だ。
LRBは、レビューや情報交換のプラットフォームから、ショッピングやオンラインストアのプラットフォームへと進化を遂げた。様々な企業がブランドを展開できるインショップ構造を構築し、約2億人以上が活用している。うち、8,500万人が月平均のアクティブなユーザーで、非常に強力な売上力を持っている。さらに、200の国や地域で利用可能なので、世界から最高級の商品を、玄関先まで届ける迅速なサービスを顧客に提供できる。
ステップ1:LRBのオンラインショップを開設する前に、ビジネスモデルを1つ選ぶ必要がある。LRBがあなたの商品を支援し事前に買い取るか、企業が独自にショップを開設するかのどちらかを選択しよう。恐らく、後者の方が、マルチブランドリテーラーには適しているだろう。
ステップ2:LRBを取引プラットフォームおよびSNSとして活用するなら、企業は公式アカウントを開設しなければならない。そのためには、まず個人アカウントを開設し、会社確認書類の番号をLRBに提出する必要がある。
ステップ3:公式アカウントの登録は、アリババやJD.comなどの大手プラットフォームよりもはるかに安く済むことを覚えておこう。ただ、公式LRBアカウントにも短所はある。売上代金へのコミッション率が高く、自分のe-ショップの商品保存に制限があることなどだ。
LRBのユーザーは、様々な商品やサービスのオススメ情報やレビューを共有し、リンクを生成し、掲載記事の中の商品をプラットフォームから直接買えるようになっている。国境を越えるe-コマース市場でシェアを伸ばしており、中国で自分のブランドを立ち上げるつもりの企業は、デジタル社会でマストハブのデータベースに、ここのプラットフォームを保存しておくのが良いだろう。
LRBは、ユーザーにもブランドにも成功をもたらすことを証明している。2018年以来、エスティ ローダー、ランコム、レイバンなどの大手とパートナーシップも構築してきた。2019年12月時点で、30億人民元(3億8,600万EUR)の売上高を記録しているLRBは、今後2年で、中国を代表するe-コマースプラットフォームに成長することが予想されている。