パンデミックの時代にモノを売る方法
世界中の大小様々なショップは、この未曾有の状況をどう凌いでいるのだろうか?リテーラーが導入しているソリューションの概要をWeArが紹介しよう。
国際的なコンサルティング会社のマッキンゼーは最近、アパレルや専門店のリテーラーは現在、ショップの役割を再定義する必要に迫られていると強調している。SNSやメール、SMS、アプリなどを介したダイレクトマーケティングを使い、顧客と親密な関係を築くことは最優先事項だ。オフラインとオンラインのショッピングの区別はやめるべきで、重要なことは、ショッピングをしている感覚を忘れさせるショッピング必要なのだ。ショッピングは会話になり、アイデアの交換になり、インスピレーションと癒しの源になるべきなのだ。
ロックダウン中、ロンドンのセルフリッジズはクライアントを楽しませ続けた。例をあげれば、チャンレンジ(例えば、#Fullfridgesは顧客にロンドンのヒーローを指名させ、勝者は同店のFood Hallから冷蔵庫いっぱいのグルメな食料品を獲得できるというもの)や、トーク(例えば、エグゼクティブディレクターのセバスチャン・マネスが、リック・オーエンスとミシェル・ラミーとともに、笑いと涙溢れるビデオトークを展開)の企画などだ。
リテーラーが顧客との個人的な繋がりを育めるライブショッピングは、魅力的なツールだ。メンズリテーラーの
Rothmans New Yorkは、州全土に自宅待機命令が発令されたこの春から、FaceTimeを介してプライベートショッピングの提供を始めた。ロバスト性の高いモバイルアプリ、Heroも注目だ。クロエ、ラグ & ボーン、リーバイスなどのブランドが使用しており、販売員が顧客とともにライブショッピングをしたり、チャットやテキスト、ビデオなどをシームレスな顧客体験へと統合することができる。
SV Moscowは、現在の取扱商品に関する個人的なコンサルティングだけでなく、一般的なファッションについての会話などを提供しながら、スマートフォンを通して顧客とのコンタクトを維持している。同様に、ロシアのツム百貨店は、WhatsAppを使ってクライアントと連絡を取り合っている。イタリアのリテール大手La Rinascenteは、数年前にWhatsAppとWeChatを介したオンデマンドサービスのローンチに成功しているが、ロックダウンの期間にその人気はさらに高まった。ファッションの空間に身を置くことを物理的に欲している人のために、マルモとロンドンにあるTrès Bienは、臨時閉店中の店内をバーチャルに訪問するシステムを設け、顧客がフィットや製造に関してプロと話し合いができる機会を提供している。
店舗の役割は、友達、アドバイザー、親友のような役割へと変化している。古い競争のルールはもはや通用しない。パンデミックが始まるほんの少し前、パレルモのマルチブランドストアGiglioは、Community Storeというデジタルプロジェクトを立ち上げた。メイドインイタリーの精神を掲げる、イタリアのブティック150組が集結するバーチャルハブだ。このプロジェクトは、地域のリテーラーのユニークな個性を称え、国際的なクライアントへのアクセスを提供している。新型コロナ危機により劇的に変化したリテールのランドスケープの中で、協力と共有に対する著しい要求の高まりを受けて、今後も協働的なプロジェクトが展開されることを期待したい。チームの努力だけでなく、かつてのライバルとの結束を通して、ファッションリテールがこの危機を凌いでいけるように。WeArは引き続きこの傾向に注目し、今後の誌面でレポートを紹介してきたいと考えている。