親愛なる読者のみなさま
みなさんが、お元気に過ごしていること、そしてトンネルの向こうに明かりを見つけられていることを祈っています。
私は、新型コロナウイルス(Covid-19)のロックダウン時をオーストリアで過ごしてきました。イタリアの隣国であるこの土地で、私たちは悲しいニュースを毎日のように耳にしてきました。多くのほかの国の状況も同じく、身のすくむような思いです。
オーストリアにいる私たちは、比較的幸運だったと言えます。国境を再解放した最初の国の一つでしたし、実際、危機的状況にはほとんど直面せずに済みました。NYのような大都市が経験している状況と比べれば、取るに足りないと言えます。
日常生活が戻り、規模は小さいながらも日々改善がみられています。
残念な話ですが、新型コロナウイルスがもたらした負の経験の一つに、誠実さに欠ける経営者からの悪い言い訳が挙げられます。特定の個々の会社を指定せずに、チャプター・イレブン(連邦破産法第11章)の申請を通して、ある種の「法的な強奪行為」が行われてきました。負債、労働者、契約、その他都合の悪いものを70%も償却し、あたかも何もなかったかのように、彼らは同じ看板を掲げてビジネスを続けていくのです。
何もなかったかのように?いいえ、多くのことが起きました。誠実な人たちが、それほど誠実ではない人の借金を肩代わりしてきたのですから。
さらに、責任感のない大手ブランドが、供給業者や製造業者への支払い義務を果たしていないという話も耳にしてきました。被害にあった業者の多くが、信じられないくらい過酷な影響を受けた途上国に位置しています。
私たちは今、最も見境のない生存者へと変貌を遂げた、誤った種類の進化論者の「延命劇」を見ているようです。誇りに思えることは何一つありません。
支払いを怠り、駆け引きを行い、逃げ回れると信じている人たちがいたことを、忘れてはいけません。なぜなら、忘れないことがこの種の行いを阻止する唯一の方法だからです。彼らを許さず、彼らの行いを忘れてはいけません。私たちは再起しても、過去を忘れはしません。
ほかに学んだことは、インターネットの可能性が偉大だということです。ただ、際限なく、とは言えません。在宅ワークやe-ラーニング、オンラインショッピングは、この新型コロナ禍で幅広く受け入れられましたが、同時に、オンラインがすべてではないということも示されました。人間は社会的な生き物です。互いに互いを必要とし合います。話しをし、触れ、感じ、交流するのが好きなのです。返品の検討が必要ない分かりきった商品は、オンライン注文が楽ですが、それを除いては、実際の店舗でショッピングをするのが好きなのです。
実店舗でのショッピング体験は死に絶えません。むしろ、オンラインショッピングは実店舗を補完するものなのです。これは、コロナ禍で変更を余儀なくされたオンラインの展示会やイベントにも当てはまります。私たちは、これらのイベントのすべてをチェックしました。多くが周到に行われ、確かに実際の体験を補強してくれるものでしたが、どれ一つとして実際のイベントに完全に置き換えられるものはありませんでした。私たちも、この業界をサポートできるものを創設することに時間を費やしました。WeAr DiGiShowsです。お馴染みのWeArのクオリティーで、あなたのショールームやショップを紹介しています。このバーチャル販売スペースは、あらゆる種類のビデオ通話プラットフォームを介して、1対1の営業を行うことができるため、クライアントへの直接販売も可能になります。
この文章を書いている今、日常生活が戻り始め、ビジネスも再開し始めています。健全で最も勤勉な人たちが先陣を切り、弱者は切り捨てられるでしょう。プロ意識のない人が生き残れるスペースは残されていません。
結果として、グローバルに舵を切るべきだということが、日々明白になってきています。世界は大きく、可能性は無限です。輸入業者や流通業者、または少なくともリテーラーと出会い、あなたのビジネスプロファイルを長期的に変えてくれる素晴らしいパートナーが見つかるでしょう。アメリカは現在もひどく苦しんでいます。ヨーロッパの状況は可もなく不可もなくという状況ですが、アジアは「ブーム」を体験中です。本誌に当てはめてみれば、中国の新規購読者数はこの数週間で最高を記録しました。
サスティナブルでないビジネスの居場所はますます小さくなっています。コロナ後の世界では、サスティナビリティはもはや、環境問題と闘うニッチなグループの問題に止まらず、より大きな人口の集合体が懸念する中心的なテーマです。本号では、よりエシカルで環境に優しい商品を提案するためのアイデアをご紹介しています。
私たちWeArは、コロナ禍に関わらず、ファッション界のレポートを発信し続けている数少ない出版社の一つです。巨大な損失が私たちや業界そのものに苦境を強いても、あなたは報われるべきだと感じているからです。私たちをサポートしてくださったみなさん、ブランドとバイヤー、そしてファッショニスタを繋げる最も重要な橋渡しの役割を続けられるよう、力を添えてくださった方々に感謝します。みなさん、どうもありがとうございました。私たちの感謝の気持ちは、当然ながら読者のみなさん、そして企業のみなさんにも捧げられます。勇敢にも広告掲載を継続してくださったことが、結局のところWeArの発行を可能にしてくれているのです。
みなさんの安全とビジネスが健全に繁栄することを祈っていますクラウス・フォーゲル、発行人