ヴィンテージを組み合わせる魅力
最近のリテールでは、同じスペースにヴィンテージと新しい服を組み合わせる動きが目撃されている。
買い物客は、販売場所が商品のグループによって区別されることに慣れている。例えば、ユーズドの服は委託販売やリサイクル、チャリティーショップやヴィンテージショップに置かれ、それ以外の多くは新しいアイテムとして通常のショップで販売というように。ここ数年、リテーラーはこの販売の境界線に実験を試みている。長らく閉店していたパリの百貨店、Samaritaineのヴィンテージセクションや、リバティ ロンドンで売られている、コレクターズアイテムになりうる中古のアクセサリーやファッションなどが良い例だ。だが現在、まったく新しい動きも見られる。転売の重要性が高まり、ファッションのメインストリームとしての地位を与えられている。
この傾向は、マルチブランドのブティックや、ヴィンテージセクションを新設したFarfetchのようなオンラインリテーラーを見れば明らかだ。別の例で言えば、AssemblyのL AとN Yの店舗は、新しいものと古いものをミックスし(タグを見ることで認識できる程度だが)、ミニマルな手法でディスプレイしている。この組み合わせは、新品のアイテムが持つ価値を、ヴィンテージアイテムに吹き込む作用をもたらす。さらに、NYのイーストヴィレッジにある、マルチブランドのウィメンズウェアブティックDuo NYCは、1点もののヴィンテージと独立した新進デザイナーをさりげなく共存させている。
転売ブームを盛り上げているのは、若い顧客たちだ。彼らは買い物をする際、ファストファッションが環境へ及ぼす影響に配慮するよう教育されている。中古アイテムとサスティナビリティの繋がりが新たなファッション性への鍵だが、もう1つの魅力も存在する。Supremeのような、人気のストリートウェアやスケーターウェアブランドによる、コレクターズアイテムになりうる限定版だ。転売サイトのGrailedは、このトレンドを活用し、流行に敏感なスニーカー信者の消費者グループ(多くは男性の)を取り込でいる。「限定版」は、カルト的なアイテムとしてブームを生み、リテーラーは、これらの限定版アイテムの転売に可能性を見出すことができる。
GlobalDataによると、Vestiare 、The RealReal、Depopのような転売市場は、2023年までに500億USDを超えると予想されている。ThredUpでは、一般小売よりも21倍のスピードで成長しているセカンドハンドの国際市場は、今後10年でファストファッションを超えると考えられている。つまり、ブランドのアイデンティティに沿った古着を、既存のラインナップに取り入れる方法を、リテーラーのあらゆるビジネスモデルにおいて模索するべきだということを意味している。ショップによっては、ヴィンテージのバイヤーを雇い、在庫を持つことを検討するのも必要だろう。あなたの顧客が求めているのは何だろう?高級ハンドバッグやスニーカー(GrailedやRebagが扱うステータスシンボル)、またはまったく異なるアイテムだろうか? または、顧客が自分の古着を委託するよう、働きかけることもできるだろう。
転売とe-コマースの組み合わせも鍵だ。オンライン市場での動きから、リテーラーは顧客に関する有効なデータを少しずつ収集していくことができるだろう。または、転売プラットフォームと協働もできる。VestiaireやThe RealRealは、主要市場のリテーラーやブランドと、コラボレーションの機会を探り、ニーマン・マーカスは最近、委託販売や仲間同士のプラットフォームとは異なる、出品者から直接アイテムを購入するサイト Fashionphileに投資している。手法はどうであれ、リテーラーは、収益を増やし顧客をつなぎとめるために、セカンドハンドと新しいアイテムを区別するのではなく、組み合わせることを試す必要があるかもしれない。