家とは愛があるところレポート
パンデミック後も続くショッピングトレンド
新型コロナの影響で消費者がこれまでにないほど「おうち時間」を過ごした結果、アパレル業界は経済的な大打撃を被った。ただ、ファッションでの損失は、ホームウェアの収益になった。おうち時間が増えたことで、人々は自分らしいスタイルを反映した空間づくりに消費するようになったのだ。Statistaによると、英国単独で家の修繕とガーデニング商品のオンラインセールスは、2020年3月に前年比でほぼ50%増加した。
ラグジュアリーファッションの消費者にも同様の傾向がみられた。MATCHESFASHIONシニアバイヤーのチェルシー・パワーは、ホーム部門が2020年4月に前年比で約2倍の売り上げを記録したと報告している。この結果、多くのファッションブランドが、ホームウェアでの消費増加を取り込もうと、ホームアイテムを含めてラインを拡大した。ヘンリー・ホランドのようなデザインアイコンは、ロックダウンの期間中に陶芸の趣味を利益の上がるビジネスモデルへと展開し、リバティロンドンとエクスクルーシブなカプセルコレクションを立ち上げてしまった。一方、サイモンミラーやBernadette、ディオールメゾンのようなデザイナーは、テーブルウェアや布地の室内装飾品、磁器、そのほかの装飾アイテムでこの市場に参入した。メインストリームでも、ザラホームの成功を受けたMangoが、初のホームウェアコレクションを2021年春に立ち上げている。
ファッションブランドがホームウェアのカテゴリーに進出するのは自然な動きに見える反面、この流れをできるだけスムーズに実行していくには、多くの場合、ライセンスのパートナーシップや外部コンサルタントの支援が必要だ。現在、ホームウェアの世界に思い切って飛び込もうとしているファッションブランドは、ブランドのアイデンティティを自然に変換できるアイテムに焦点を当てるべきだろう。今後、消費者が自宅や屋外のパーティーで集まることが期待できるので、話題に上るような目新しいアイテムは素晴らしい選択肢といえる。
人々が再び集まれるようになったら、アート感覚でファッショナブルにテーブルや暖炉の上をセッティングする「テーブルスケーピング」や「マンテルスケーピング」がトレンドとして、また言葉として注目を浴びるだろう。このトレンドは、消費者がインスタ映えする写真を撮って、友達や家族と共有することを可能にするので、本誌が出版される頃には「#tablescapes」のハッシュタグが50万規模でSNSを賑わすだろう。2020年10月『ガーディアン』は、セルフリッジズでテーブルリネンの売上げが前月の2倍を記録したことを受け、「ナプキンは新しいファッションだ」とレポートした。
日常生活が平常に戻っても、ファッションリテーラーは消費者が自分の家に対して育んだ新しい愛を無視してはならない。リテーラーとブランドは引き続き、ファッション性にこだわった高品質のホームウェアを開発するべきだ。それはつまり、アパレルラインを補完し、消費者の自宅の習慣に響くようなアイテムだと言える。