ALL TIED UP
リボンやタイが絡み合いループを描き、2022年夏の世界中のランウェイで注目を集めた。この素材は、様々なデザイナーのビジョンにふわりとした気まぐれさと動きを与えていた。
ある人にとっては、これはボディコンシャスで体のラインを引き付けるものであり、また、パンデミックを通して目にしてきた快適なニットウェアとの組み合わせでもあった。XULY.Bëtのメインはアスレチックなスタイルで、ライクラの黒のボディースーツをコレクションのベースに、ブランドのシグネチャーカラーである赤のトップステッチで蜘蛛の巣を彷彿とさせるデザインを施していた。Marques’Almeidaは、赤、緑、パープル、ブルーなどの不定形の結び目を使い、Nani Camposでは、デッドストックの生地を使って、床に触れるほど長いレイヤースタイルを作り上げた。2022年春夏のランウェイでは蛍光色が多く登場し、Ottolingerは肌を露出したコットンのセパレーツにストラップやひもなどを添え、SF映画の砂漠を探検するシーンを彷彿とさせるスタイルを披露した。一方で、Nina Ricciのコレクションのハイライトは、ダイビングカルチャーや海にインスピレーションを得た、繊細な作りのフィッシュネットのスカート、パンツ、トップスだった。しばしば目に留まったのはリボンやタイの装飾だ。Eckhaus Latta (エコーズ・ラッタ) のツーピースニットから、アレキサンダー・マックイーンのミニとフルレングスのスカートのシルエットやトップスまで、地面に引きずるほど服から長く垂れて、ロックやスケーターのバイブを添えていた。このスタイルは、サカイやステラ マッカートニーなどのエレガントに仕立てられたワークウェアや再解釈を与えたカーゴスタイルなどにも浸透していた。今シーズンの傑作と言えば、クリストファー・ケインだろう。ループ状の白いひもがついた織地のコートや1960年初期を彷彿とさせる、素肌が見えるシルエットなどが登場。さらに、予想を裏切るものでは、Noir Kei Ninomiyaの彫刻的なデザインだ。チュールの服に、リボンを交差させてレースアップ状にし、頑丈な麻織物を体に巻き付けたことでコルセット風のスタイルに仕上げていた。