NFTS:ハイプかホープか?
リテーラーやブランドが利用している評判の高い新しいアプリやソフトウェア、ウェブサイトをWeArが検証するコーナー。すべてのショップで利用可能なものもあれば、リテーラーやエリアに限定されたものもあるが、ファッションランドスケープのデジタル化に遅れを取らないための、参考材料になることを期待する。
NFTとは?
NFTはNon Fungible Tokenの略で、日本語では「非代替性トークン」と呼ばれる。取り換え不可能なデジタル形式の資産で、「トークン」として認識されており、したがって、仮想オブジェクトの真正性のデジタル証明書だと言える。NFTは暗号通貨を介して主にオンラインで取引される。それぞれのNFTは唯一無二で、一人の明確な所有者が存在する。
ファッションブランドとNFTの関係
NFTで最初に功績を挙げようという大手ファッションブランドの競争は、2021年前半にスタートした。グッチは、6月にNFTアートワークでその活動を始め、ファッションショーの映像からの詳細な写真を、クリスティーズで25,000 USDのオークションにかけた。一方、バーバリーは、8月にゲーミングでこの競争に参入し、NFTのアクセサリーを販売。ジェットパックやブレスレット、ウォーターシューズなどで、ブロックチェーンのビデオゲーム「Blankos Block Party」で遊ぶゲーマーが自分のキャラクターに着せることができるアイテムだ。同時に、ルイ・ヴィトンも「Louis the Game」というスマホゲームをローンチした。様々な世界を旅する中で、ユーザーは30個のNTFを探しあて、そして無料でキープすることができる。カール・ラガーフェルドは、9月の始めに、デジタルファッションプラットフォームのThe Dematerialisedと併せてデザイナー自身をアニメの
キャラクターにした2つの限定版NFTコレクションを77 EURと177 EURでそれぞれ販売した。全854個のNFTは、発売開始からわずか49分で完売した。
ドルチェ&ガッバーナが提供するのは「Genesi」という全9ピースのクチュールコレクションで、UNXDプラットフォームでNFTのオークションにかけられた。
デジタル体験もまた、リアルワールドへと足を踏み入れている。顧客が5種類のスタイルを購入すると、支払った金額の中に、実際の服の製造も含まれている。合計で、価格は約570万USDにまで高騰し、イーサリアム暗号通貨で支払われた。ヒューゴ ボスは、「フィジタル」なブランド体験を選択した。「BOSS X Russell Athletic」ラインの発表に合わせて、ブランドはTikTokチャレンジを開催。ユーザーが限定版のNFTを手に入れるチャンスを勝ち取る内容で、本物のバーシティジャケットと交換することができる。このキャンペーンは驚くべきことに、SNSで40億人ものインプレッションを達成した。
将来の展望は?
ファッション業界にとって、NFTは依然としてニッチな話題だが、デジタルとリアルを融合した世界の、「メタバース」の発展を止めるものはないようだ。アメリカの投資銀行モルガン・スタンレーは、ファッションやラグジュアリーブランドへのデジタル需要がもたらす業界の追加収益は、2030年までに500億USDに達するだろうと予想している。「メタバースが発展するには長い年月がかかると思われますが、NFTとソーシャルゲーミング (例えば、アバターが参加するオンラインゲームやコンサート) は、ラグジュアリーブランドに短期的なチャンスをもたらすでしょう」。