発展・開放の環境整備を促進
経済産業省通商政策局通商交渉官
いきたい。
もう一つは18年11月、同じく北京で開かれ
た「第12回日中省エネルギー・環境総合フォー
ラム」だ。今回は特に地球規模の課題である水
素エネルギーの活用や、海洋プラスチックご
み対策に重点を置いたことで、この分野での
日中官民による今後の協力強化に弾みをつけ
ることができたと考えている。
同フォーラムは、日中の省エネルギー環境
分野における協力の重要なプラットフォーム
として、両国の同分野における官民のリーダー
と関係者が一堂に会し、具体的な協力プロジェ
クトの実現や当事者間の相互理解を目指した
取り組みを行っている。これまでの開催で累
計3 6 2件の協力案件を打ち出すなど、日中
の省エネルギーと環境協力の象徴とも言える
存在だ。
ビジネス環境整備に尽力
相互間的な経済協力関係の深化を推進する
ために、中国市場のビジネス環境整備の推進
も、中国政府との協力が進む主な取り組みの
一つだ。中国では現在、習主席が示した対外開
放の方針に基づいて、自動車や金融などの外
資投資の規制緩和が進められており、大きな
一歩として歓迎したいと思う。
今後は日本の対中投資の増加が見込まれる
が、世界経済の持続的発展には、公平な競争環
境を確保した上での競争も大切だ。特に知的
財産やデータの保護、投資関連規制などに関
心が持たれる今、さらなるビジネス環境の推
進が期待される。
経産省は、今後も日中両国の企業に向け、ビ
ジネスの拡大や両国の経済成長に貢献する取
り組みを強化する。具体的には第三国市場協
力、省エネ・環境分野、中国市場のビジネス環
境整備の他、医療や高齢者介護サービス産業
などの幅広い分野で、日中経済交流を促進し
ていきたい。それによって、日中両国間の交流
がますます発展するよう大きく期待している。
中国政府は2 0 1 8年11月、輸入拡大と貿
易自由化の推進のために「第1回中国国際輸
入博覧会」を開催した。経済産業省(経産省)
では、この開催を重要案件と捉えて積極的に
取り組み、ジェトロ(日本貿易振興機構)が
ジャパンパビリオンおよびジャパンブースの
窓口を務めるなど、オールジャパンの体制で
臨んだ。その結果、日本からは4 5 0を超える
企業や団体が出品し、出品者数、展示スペース
共に国別で最大の参加規模となった。
経産省は今、経済成長の助力となる多角的
な通商関係の構築を目指した取り組みを強化
している。特に中国との関係では、インフラ協
力と相互補完的な経済協力の深化に力を入れ
ている。
新たな発展を見据えた取り組み
18年は、中国改革開放40周年と日中平和友
好条約締結40周年を記念する節目の年だった。
この40年、中国は目覚ましい発展を遂げると
同時に、日中両国の経済関係の結び付きも深
まり、幅広い協力が進展した。
17年11月、安倍首相と習近平国家主席の日
中首脳会談が日中関係の新たなスタートと位
置付けられてから、両国のハイレベル交流が
加速した。18年5月と9月の首脳会談を経て、
10月には日本の首相としては7年ぶりに安倍
首相が中国を公式訪問した。そして、新たな取
り組みとして初めての「日中第三国市場協力
フォーラム」が盛況に開催された他、イノベー
ションと知的財産分野の協力を議論するため
の「日中イノベーション協力対話」を新たに
創設するなど、幅広い分野での対話や交流を
深めていくことで意見が一致した。両国の関
係強化にとって有意義な取り組みの数々が、
今後の交流をさらに拡大するものと期待して
いる。
対外開放の高まりに協力前進
中国では対外開放の動きが活発になってい
る。18年4月のボアオ・アジア・フォーラムで
習主席は、中国の質の高い発展は今後より開
放された条件の下で実現される必要があると
述べた。また、市場参入の大幅な緩和、投資環
境の整備、知的財産権の保護、輸入拡大など、
改革開放40年の次のステップに向けた新たな
計画を発表した。
日本でもそうした中国の対外開放に向けた
動きを受け、中国政府との協力が大きく前進
している。特に以下の二つのフォーラムに注
目したい。
一つは、18年10月に北京で開催された「第
1回日中第三国市場協力フォーラム」だ。両国
首脳や閣僚のほか、日本からは経団連をはじ
め40人以上の経営トップも訪中し、日中合わ
せて約1 5 0 0人の企業関係者が参加した。
政府主催の日中経済交流イベントとしては過
去最大規模であり、多くの人々に日中第三国
市場協力の意義を理解してもらえただろう。
今回は52件の協力覚書が署名・交換された。そ
の内容は、インフラ建設プロジェクトのほか、
物流、I T、ヘルスケア、金融など幅広い範囲
にわたっている。日中の企業が持つ強みを生
かし、国際スタンダードに合致した第三国の
利益となるプロジェクトを形成していくこと
は、両国の経済協力の拡大と対象国の発展に
大変有益だ。日中の企業と対象国が、長期的
にウインウインの関係達成につながることを
目指した取り組みとして、今後も力を入れて