「W杯優勝で返金」騒動の啓示
「フランスが優勝したら、華帝は全
額返金!」。昨年のサッカーW杯ロシ
ア大会の期間中、中国のキッチン家電
メーカー「華帝」( Va t t i、深圳証
券取引所上場会社)は、このような「ギ
ャンブル式」のマーケティング活動を
展開し、ネット上で注目を浴びた。実
際フランスは優勝したが、華帝は本当
に宣伝文句通り全額返金したのだろ
うか。
「華帝に返金する資金力はないので
は」と、人々がまさに気に掛けていた
昨年7月16日午前0時54分(北京時
間)、S N Sサービスの「微信」( We
C ha t )の華帝公式サイトは「全額
返金の開始」を宣言し、詳細な返金プ
ロセスを公表した。この知らせは、仏
代表の優勝というニュースとほぼ同
時に、微信の情報共有機能の「モーメ
ンツ」を駆け巡った。
華帝が有言実行!上記の宣言を
受け、華帝が今回のW杯で展開したマ
ーケティング活動が大成功を収めた
というニュースが、再び人々の関心を
集めることとなった。
「全額返金」巡り騒動勃発
華帝は昨年3月、仏代表チームと正
式に契約し、同代表のオフィシャルパ
ートナーとなった。その後、華帝はス
ポンサーとしての地位を生かし、「優
勝セット」(全額返金の対象となる換
気扇、ガスコンロ、給湯器などの組み
合わせ商品)の販売を開始。5月30日
には、もし仏代表が優勝したら、6月
1日午前0時から同月30日午後10時
までの期間に、「優勝セット」を購入し
た消費者に対し、領収書に基づいて全
額返金の活動を行うと発表した。また
同30日には、仏代表がベスト8に進出
したことを受け、華帝は返金対象とな
る購入期間を3日間延長し、7月3日
までとした。
華帝の7月5日の公式発表では、6
月1日から7月3日までの期間中、対
象商品の店頭などでの販売とECサ
イトを通しての販売総額は、それぞれ
約5000万元と2900万元に上
った。また、商品全体の販売総額も前
年比2億3 0 0 0万元増となる約10
億元に達した。
ところが、ここで問題が起きた。商
品の購入者から、「返金してもらえな
い」「金ではなく商品券で返すと言わ
れた」などといった苦情が噴出。この
騒動に消費者協会も乗り出す事態と
なった。
「ギャンブル式」広告の問題点
この問題を法的な角度から見てみ
よう。まず、事前に発表していた「フ
ランスが優勝したら」という条件が
満たされてすぐ、華帝が自主的に「全
額返金」を履行する姿勢を示したこと
で、虚偽広告と見なされて行政処罰を
受けたり、民事賠償責任を負ったり、
または炎上事件に発展したりするリ
スクをとりあえず回避することがで
きた。
しかし、その後に華帝は、店頭など
での販売分5000万元については、
華帝の代理販売業者が返金し、華帝自
身はネットなどでの販売分2900
万元の返金を行うだけと発表した。さ
らにネットでの販売分の返金は現金
弁護士が見る時代と歩む中国法
2