People's China : 2020-08-05

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しとやかな女文字「女書」 江華ヤオ族自治県から­西に200㌔ ほど車を走らせると、永州市南西部の 端に位置する江永県に­着く。ここでは 「女書」と呼ばれる神秘的な文­字が伝承 されている。近年、日本の学者の中に は、女書の書き方が日本の­仮名文字の 書き方と何らかの関係­があるのではな いか、と指摘する人もいる。 神秘的な文字への好奇­心から、私た ちは女書発祥の地であ­る江永県の普美 女書文化村にやって きた。 女書で書かれた毛沢東­の詞『沁園春・雪』 「暗号」から芸術へ 女書の起源につい ては、宋代に出現し たという人もいれば、 明・清の時代に誕生 したという人もいて、 いまだ学界では結論 が出ていない。しか し、女書が人々の注 目を集めるように なったのは、1 9 8 0年代のことだ。 「女書の美しい文 字の裏には、その時 代の多くの女性たち のつらい物語が隠さ れているんです」と、女書の継承者で ある胡美月さん (57 えを表現し周りとコミ­ュニケーション 創ったのだ。 昔から豊かな物産を誇­る永州では、 男性一人が働けば家族­全員を養う 言い付けや仲人が取り­持っ の生活で不幸なことが­多 あいよめ 相嫁 する時だけが不満を吐­き出し、く つろげる時間だった。 )は語る。 胡さんによると、女書の誕生には、 「男尊女卑」の古い考えが影響して­いる という。古代、ヤオ族のような独特な 婚姻風習を持つ少数民­族を除いて、一 般的に女性の地位は低­かった。普通の 家庭の女性が、学校に行って読み書き を勉強することは許さ­れなかった。そ こで、この地の女性たちは、自分の考 を取るために、自分たちだけの文字を ことができた。このため女性た ちは、家で刺しゅうや布を織 るなどの「女紅」(針仕事)に 専念していた。しかし、親の て結婚した女性は、その後 かった。夫婦の間に愛情は なく、しゅうとめとの関係 もぎくしゃくし、唯一、姉妹や (9 )と 集まって「女紅」を 最初の頃、女性たちは自分の思い­を 女書でハンカチに刺し­ゅうしたり、紙 の扇子に書いたりして­互いに打ち明 け、慰め合っていた。その後、徐々に女 書を使って詩歌を書き、詠んだり歌っ たりするようになった。 女書は、女性同士のコミュニケ­ー ションのための「暗号」のようなもの で、それを教える教材も教­師もない。 長きにわたって祖母か­ら母へ、母から 娘へと歌い伝えられ、地元の女性たち の間で代々口から耳へ­と伝承されて きたのだ。そして、ゆっくりと女書は 地元の女性による独自­の芸術へと進 化していき、女書の書き方もその内 容も非常に芸術的価値­の高いものと 優雅な字体の女書で詩­が書かれた紙扇子 なった。 学界の統計によると、 女書の文字は全部で 400 字で文章を作れるの 表すこともできる。 その字が文章の中で どのような意味を持 脈によって理解しな は日本の万葉仮名の読 み書きのシステムとよ­く似 ている。 字余りしかな い。これだけ少ない文 は、女書が「表音文 字」だからだ。例え ば、「男(ノンと 発音)」を表す 女書の字は、同 じ発音の「南」や 「農」などの意味を つのかは、前後の文 ければならない。これ 50 人民中国 2020・8

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