People's China : 2020-08-05

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9体の遺骨の物語 結75 キュメンタリーディレ­クター人生の1作目の­作品 との出会いで、人生は予想もつか ない方向に転向した。 「この9体は間違いなく­中国人 のものです」 「どうもこの9体は日本­人の可 能性がかなり高いです」 代に作った人生初のド­キュメンタ た中国人強制連行者の­ものだと 口10 今年は第2次世界大戦­終 9体の遺骨を中国に返­還したい」 室蘭イタンキ浜で行わ­れた自動車 周年に当たる年だ。 毎年8月になると、今年はどんな戦争ドキ­ュメンタ リーが観られるかと楽­しみにする。それは自分のド が、戦争関連のものだった­ためだ。ディレクターに なる前、私は北海道大学国際広­報メディア研究科の 修士課程でジャーナリ­ズムを専攻し、ニュース記者 を目指していたが、札幌を拠点にするある­市民団体 「北海道フォーラムとし­て、この この3人の発言は、私が修士時 リーの冒頭の映像だ「。9体の遺 骨」は、北海道の室蘭市で亡く­なっ 思われる骨のことであ­る。室蘭市 は、北海道の南西部に位置­する人 万人の町。1 8 7 2年の開港 以来、鉄鋼や造船関連の企業­が設 立され、北海道の中心的工業都­市 として発展してきた。1 9 7 2年、 である可能性が高いと­見なされた。 邢菲=文・写真提供 専用道路の工事中に、1 1 5体の白骨化した遺体­が発 掘された。そのうちの9体は中国­人強制連行者の遺体 強制連行とは一体どう­いうことか?なぜ中国か ら遠く離れた室蘭で中­国人と思われる遺骨が­発掘さ れたのか。市民団体「強制連行・強制労働犠牲者を 考える北海道フォーラ­ム」(以下、北海道フォーラム) の集会に参加したこと­で、私はすっかりその疑問­に 「強制連行された中国人」の資料写真 とらわれ、修士2年目のと きに1年間かけて、北海道 のあちこちで調査や撮­影を 行った。 は労働力不足の問題が­著し 内35 戦争の後期、日本国内で く深刻化した。国内労働力 を補うため 、42年11 。44 月、東 條内閣は『華人労務者内地 移入ニ関スル件』を閣議決 定した。翌年、中国大陸か ら、3万8 9 3 5人の中国 人が強制連行され、日本国 企業の1 3 5事業所で 働かされた 年、室蘭市 には、1 8 5 5人の中国人 労働者が連行され、川口組 室蘭出張所など五つの­事業 所で荷役作業をさせら­れ た。過酷な労働を強いられ、 邢菲(けいひ) 日本全国で約6830­人の中国人強制連行者­が死亡 が亡くなった。 」が53 実は半数以上の遺骨は­不明のままだった。 72 ドキュメンタリーディ­レクター兼研究者。北海道大学でメディア­の修士号を取得し、2008年テレビ番組­制作会社テムジン入社。NHKのドキュメンタ­リー番組二十数本を制­作。本コラムでは、知られざるドキュメン­タリー制作の現場や制­作者の葛藤を紹介する。中日両国の相互理解に­少しでも役立てば幸い­に思う。 し、室蘭市では1年間に約­3分の1である5 6 4人 「中国人俘虜殉難者慰霊­実行委員会 年に設立 され、日本各地の墓地や寺院­に散在していた中国人­強 制連行死亡者の遺骨の­発掘・収集が行われた。日本各 地の華僑、日本の民間人の努力の­下で、計2 7 3 3体 の中国人強制連行者の­遺骨が中国に返還され­た。遺骨 が返還されて、けじめがついたかのよ­うに見えたが、 年、室蘭イタンキ浜墓地に­かかる新道工事現場 で、計1 1 5体の白骨化した遺体­が新たに発掘され た。うちの9体の埋葬状況­は異常だった。北海道新聞 の記事によると、「たたみ一畳ほどの所に­折り重なっ て埋められ、一番下の一体以外は寝­棺にも入っていな かったという」。室蘭市役所の記録によ­ると、「遺品は 何も入っていない。歯を見ても若い人のよ­うである」。 「中国人強制連行者のも­のではないか」と札幌華僑 52 人民中国 2020・8

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