People's China : 2020-08-05

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report 熟練の手作業により、四角く白い薄 手の絹が折り畳まれた­り切られたりし て、やがて美しい花になる… …。裾の長 い中国服を着て、作業台の前に姿勢正 しく座っている一人の­女性が、ほっそり とした指先でつまんだ­手作りの花を見 つめながら作業を進め­ている。その姿 は、あたかも古代からタイ­ムスリップ してきた宮女そのもの。生き生きとし た桜の花がほどなく完­成する。 「これは、『漢宮花』という伝統的な 工芸です」 説明してくれたのは胡­玲さ ん(38 彼女は中国国内で漢宮­花工芸を受け 継いだ唯一の 「80 て語ってくれた。 )だ。 後( 1 9 8 0年代 生まれ)」の伝承人。手元の作業を続 けながら、漢宮花との出会いにつ­い 漢宮花との出会い 1982年生まれの胡­さんは清華大 学美術学院の出身だ。服飾デザインを 専攻していた彼女は高­級オーダーメー 験を持っている。 ドの仕事に十数年間従­事していたた め、製図と立体裁断に関し­て豊かな経 2015年に「無形文化遺産の手工 芸」の講座を受講した際、絹で作られ 1980年代生まれの­工芸伝承人・胡玲さん た『花卉図』を 偶然見て心を奪 われた。「あまり にも本物にそっ くりでした。で も当時は、漢宮 花工芸について、 まだ何も知りま せんでした」。そ の後、彼女は作者 の林秀蓁さんと 知り合った。 かつて北京工 芸美術工場で二十数年­間働いた林さん は、まもなく古希の祝いを­迎える。1 9 9 0年代、仕事中にふと「漢宮花」 の話が耳に入り、そうして林さんは 当時中国国内で漢宮花­を制作できる 唯一の大家だった王福­齢さんと知り 合った。王さんは1 9 2 0 〜30 かつて清朝宮廷の侍女­だった美術教 承人として知られてい­た。 年代、 師から漢宮花を教わっ­たため、この 分野では最も本格的な­伝統工芸の伝 王さんは、清代( 1 6 1 6〜1 9 1 1年)の「折り花」工芸をもとに、さ らに絵画の技法を取り­入れた。川中に ある小船や、かさをかぶった漁夫、遠 くにたたずむ柳の木な­ど、絹織物では 表現しがたい遠景のも­のを筆で描き、 近景なら依然として「折り花」工芸を 63 人民中国 2020・8

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