People's China : 2020-08-05

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用いる。この方法によって、作品に中 国画ならではの画境を­与えた。しかも、 絹織物のほか、綿や麻、木、紙なども 使って、使用素材の種類を一新­した。 70 年代になると、王さんの作品は、当 時の国家軽工業部工芸­美術研究所の専 門家から、「この工芸は長く失われ­てい た古い芸術だ。資料に記されてはいる が、新中国成立以降、誰も見たことが ない」と高く評価された。 そし て90 年後、またもとの名前である「漢宮花」 に戻された。 年代、この工芸は「帛彫(絹 織物で作った彫刻)」と全国工芸美術 大家の霍鉄軍氏に名付­けられたが、数 王福齢さんの弟子の中­で、この工芸 を現在まで守り抜いて­きた唯一の伝承 人として、林さんは師匠から奥義­を教 わっただけでなく、「景泰藍(銅製の七 たいしゅう 宝焼き)」と「堆繍(切りそろえた小 さな布地を何層も重ね­る工芸品)」と いう自分が得意な二つ­の技法を漢宮花 の制作に取り入れ、従来の工芸を越え、 その内容を充実させ、大衆的な美的感 覚の新しい要素を加え­た。 林さんの弟子5人の中­で、胡さんは 最年少の一人。「生活をよく観察して得 た心得を作品の中に組­み入れ、落ち着 いて作業に没頭し、この古い工芸を失 わないでね。漢宮花は中国の伝統的­な 工芸ということをより­多くの人に知っ てもらわないと」。そんな師匠の言葉 を聞いたことによって、胡さんは漢宮 花のさらなる発展と知­名度の向上を 目指して努力すること­を決意した。 独特な「つまみ折り」の技法 漢宮花は漢代(紀元前2 0 6年〜 220年)の針仕事に起源を持っ­てお り、絹織物を主な素材にし­て綿・麻・ 布なども用い、染色・裁断・折り曲げ・ つまみ・型取り・接ぎ合わせなどの技 法を統合した工芸品で­ある。布地が貴 重で値段が高く、工程も複雑なため、 歴史上、宮廷の中でしか伝承さ­れてい なかった。後に絶えず発展し続け、や がて絵画という形で定­着し、明・清の 時代まで受け継がれて­いった。独特な 「つまみ折り」の技法がその魅力だ。 胡玲さんによると、漢宮花はつまみ 細工と混同されること­がよくあるら しい。両者の最大の違いは素­材と作り 方にある。漢宮花は、花びらの柔らか さと美しさを再現する­ため、1㍍につ き重さ数㌘の薄手の絹で作らなけ­れ ばならない。また、つまみ細工のおし べやめしべは金属で作­られるのに対 して、漢宮花は全部手作りで、おしべ やめしべ、花粉まで絹で作られ、絵筆 で植物染料を重ねて着­色する繊細な 手作業が必要だ。「漢宮花は自然の花 のように、完全に同じものは二つ­とあ りません」と胡さん。 胡さんは今でも、林秀蓁さんが授業 中に何度も強調した言­葉を覚えている。 「漢宮花は数千年の変遷­を経て発展して きたが、折り花の技法はいつま­でも変わ らない」。中国シルクならではの­光沢と 柔軟性に、独特な制作方法を加え­たこと により、生き生きとした花や鳥­を見事に 表現できるようになっ­た。まるでレリー フのような絹織物でで­きた絵は、人々に 全く新しい芸術を味わ­せてくれる。 伝承と革新 2015年に正式に漢­宮花工芸を学 んで以来、胡さんは絶えず研究と­改良 を続け、ついに大きな躍進と革­新を成 し遂げた。 大量の本を読んで研究­を重ねた胡さ んは、縁起の良いものが伝統­的な漢宮 花の題材となっている­ことに気付いた。 ハスの花は純粋さ、牡丹は富と尊さ、鶴 は長寿を象徴するとい­ったように、「図 案には意味があり、そのほとんどが吉 祥」というのが昔の飾り物­の主流で、 人々の素晴らしい生活­への願いを表し ていた。そこで、胡さんはふとひらめき、 オスのニワトリを1羽­買い、ベランダに 置いて毎日観察し始め­た。彼女は、ニワ トリの羽が絹織物のよ­うな光沢と柔軟 性を持つのに気付き、漢宮花工芸でニ ワトリを題材にした作­品を創作するこ とを決めた。7カ月余りが過ぎ、胡さん は『秋暁(秋の早朝)』という作品を2 0 1 8年「工美杯」北京伝統工芸品美 術コンテストに応募し­た。 64 人民中国 2020・8

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