People's China : 2020-08-05

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対訳 世相小説 訳文 「どこの家の犬かしら、誰も面倒を見ていない­よう 言った。 ラッキーな犬 1匹の犬、正確に言えば1匹の野­良犬が、丁先生の 家の外の芝生の上で、もう2日も横たわって­いる。 丁先生はおとといの早­朝にその犬を見た。その犬 は塀沿いに歩いて来て、足を引きずり、体はうす汚 れ、頭を垂れて、しょぼくれた様子であ­った。丁先生 は嫌そうにこれを避け­て通り、思わず鼻を覆ったほ どだった。午後、仕事を終えて家に戻っ­た時、その犬 は芝生の上に横たわり、悲しそうに道行く人を­一人 一人見つめていた。 だけど」と、昼ご飯を食べている時、妻が言った。 翌日、その犬はまったく動か­ず同じ場所にいた。 昼ご飯を食べている時、妻は、「あの犬、本当にかわ いそう。死んじゃうんじゃない­かしら」と言った。 夜ご飯を食べている時、妻はまたその犬のこと­を 言い出し、丁先生に明日犬小屋を­買ってくるように 丁先生は茶碗から顔を­上げ、口を 動かすのを止めて、いぶかしむよう な目つきで妻を見た。 「あなた、あの犬を見た?」妻は 少し感情的になり、立ち上って窓の 前に行き、「人間って、どうしてこん なに冷たいのかしら」と言った。 「分かった、分かった、明日犬小 屋を買いに行くよ」 丁先生は黄色い犬小屋­を買って きた。妻は息も絶え絶えの犬­を抱え て家に戻ってきた。 翻訳にあたって 劉新権=文 安らかだった。 族が満場一致で選ばれ­た。 丁先生は幸福に浸って­いた。 生は受付の入り口のと­ころでやせ細った彼の­父の姿 を見つけた。 いでって言ったじゃな­いか」。彼は父親を受付の後ろ に親をとても大切にす­る中国の人にしてみれ 「 劳动 洗って、傷の手当てをし、エサをやり、妻はてんて こ舞いの忙しさだった。腰も背中も痛んだが、心は 野良犬は本当にラッキ­ーだった。丁先生の妻の丁 寧な世話によって、見違えるように立派に­なった。 毎日、丁先生が妻と連れ立っ­て散歩に出掛ける時、 格格(ガガ)―丁先生が犬に付けた名­前―はいつも はしゃいで前に後にと­駆け回り、とても愛らしかっ た。同僚たちは丁先生の妻­は賢く思いやりがある­と 褒め、「幸せファミリー」選出の際には、丁先生の家 この日、仕事を終えて家に帰ろ­うとすると、丁先 「父さん、どうして学校に来たの?学校には来な 日本人にとっては、丁先生の親に対する態 度は「あるある」かもしれないが、家族、特 ば、親に対しこのような態­度を取るのは、極 めて非道徳的なことだ­と言える。中国では、 模范(模範労働者)」のように、勤務態 度が非常に良い人、人々の道徳的手本にな­る の壁際に連れて行った。 「母さんが病気なんだ」と、父は口ごもって言った。 「毎 月100 「母さんは1カ月に数百­元の薬代がかかるんだ」 「兄さんに頼めないの?」 「お前の兄さんはもう1­年以上も失業してるん­だ。 頼めないだろ?」 か ら200 「母さんはもう長いこと­病気なんだ。お前に会いた いった。 で問い掛けた。 ような人を選んで名誉­称号を与えたり、表彰 したりする習慣があり、文中に出て来る「幸 せファミリー」もこのような名誉称号­の一つ。 なお、中国では学校の先生は­学校の敷地内に ある教職員住宅に住ん­でいることが多く、昼 休みも比較的長いため、昼休みは家に帰って 食事し、休憩することが多い。(福井ゆり子) 元送金しているだろ?」 授業終了を知らせるベ­ルが鳴った。丁先生は財布 元を出して、父親に渡した。「授業がもう 終わるから、早く帰ってくれよ」 がっているから、時間をつくって会いに­来てくれ」 「莎莎が今出張だから、格格にご飯をあげる人­が いないんだ」と言って、丁先生は身を翻して去­って 「格格って誰だい?」と、丁先生の背中に父は大­声 ピックアップ語彙 (1)⍷⎠⤍ (2)ᰖ㋴ᢉ䟽(3)сᝅ䇼(4)⤍ビ(5)⤆⯇ (6)ེེжᚥ (7)᫈⅘ݵ (8)ⱜ僞Ꮟጁ 野良犬しょぼくれる思­わず、無意識のうちに犬小屋­いぶかしむ息も絶え絶­えにはしゃいで駆け回­るやせ細る 䐇 83 人民中国 2020・8

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